開催日:2022年11月26日 14:00〜15:00
会場:相模女子大学 茜館 催事場
共催:相模女子大学中学部・高等部
後援:相模原市教育委員会
前回に引き続き、11 月 26 日(土)相模女子大学にて、第 7 回学習困難児研究会を実施する事ができました。
今回のテーマは「子どもを知ること、理解することは専門の知識がなくてもできる」でした。
発達障害やグレーゾーンと呼ばれる子供たちと接するとき、どうしても大人はイライラしてしまうことが多くなってしまうことでしょう。
それは、子供のことを知らないからだろう。
いや、今回の内容からすると理解することや知識を蓄えることを諦めて、今ある知識の中で接しているからだろう。
今までの人生経験の中で答えを探し、正しい答えが見つからないからイライラしてしまう、子どもにあたってしまうのではないだろうか。
専門家でなくても、今は情報や知識が手に入る時代である。
特に多くの子どもに関わる職種に携わっている大人はこのような情報や知識を身につけることは最低限の義務ではないだろうかと感じた。
特に今回は、小学生と高校生の参加もあった。
子どもたちが学習困難児研究会の中で、発達障害やグレーゾーンの子どもたち、つまり自分たちの社会でのことを学ぼうとしているのだから。
今回強く感じたのは、 「子ども本人が研究会に参加することの大切さ」 です。
カウンセリングの言葉で、 「カウンセラーが 100 考えるよりも、 クライエントに1 聞いたほうが良い」 というものがあります。
カウンセラーがクライエントの気持ちについて、 あーでもない、 こーでもないと 100 考えるよりも、 クライエントに「どんな気持ちなの?」 と聞いたほうが、 よっぽど速くて正確です。
それはこういった研究会でも同様です。 ともすれば、私たちは子どものために良かれと思って、 保護者、 教職員、 カウンセラーなどが頭を寄せ合い、 「子どもの気持ちはこうではないか」 「子どもにはああすれば良いのではないか」 と知恵を振り絞って、 子どものことを分かった気になるという錯覚に陥りがちです。
しかし、 ややもすると子ども本人の気持ちをないがしろにして、 全くピント外れの答えに到達してしまうことがあります。
また、 時々思うのは、 「このまま特別支援教育が進むと、 支援する側の負担がますます重くなり、 それにしたがって支援される側のできることがますます削がれてしまうのではないか」 という危惧です。
特別支援の理解が浸透するにつれて、支援する側とされる側がより一層乖離してしまうという皮肉な事態です。
これらの事態を避けるためには、 子ども本人に登場してもらうしかありません。
第 7 回にもなって今更ですが、 私が毎回研究会で偉そうに言っていることも、 子ども本人からしたらチャンチャラおかしいこともあるかもしれません。
講師にその自覚がないと、 「子どものことを話しているはずなのに、 主役の子どもを否定して、 脇役の大人を正当化する」 というおかしなことになってしまいます。
それを避けるためにも、 これからはこういった研究会には、 どんどん子ども本人に参加してほしいと思います。 その結果、 講師が冷や汗をかくことになるかもしれませんが、 それもまた必要なことです。
神奈川県スクールカウンセラー
林 幹夫
(臨床心理士・公認心理師)